これは何?
他の記事でもちょこちょこ書いているように、今年は子が生まれました。
9ヶ月の育休を取得し、もうすぐ終わるので、時間のあるうちに感想やらなんやらをまとめておきます。
何で取ったの?
その1.取れるから
育休に関しては、法律で枠組みが定められています。
また、ユニセフの報告書によると、実は日本の育休制度は世界1位の優遇度合いで、特に男性側の育休制度について高く評価されています。(同時に、実体としての取得率の低さも指摘されていますが、、)
Japan offers the longest entitlement to paid leave for fathers: 30 weeks of full-pay equivalent. When it was introduced in 2007, only 1.6 per cent of fathers used it.
産後の負荷についての知識は人並みにありましたし、取得率など気にせず、せっかく利用できる制度は十二分に利用しよう〜と割と早い段階で決めました。
その2.ブランクを気にしないから
周りの話を聞いたり調べたりすると、長期離脱によるキャリアの断絶を気にする人も多い気がします。
個人的にはブランクを悪いものだとは思っておらず、以下のような点でむしろ良いものだと思っています。
- シンプルに心身を深く休められる(育休は育児休”業”だと言いますが、やっぱり仕事のストレスとは別物です)
- 「仕事!仕事!」という近視眼的な状態から離れて、ゆっくり物事を考えられる
- 子に限らず、家族とゆっくり話す時間を取れる
なので、取得することへの抵抗はありませんでした。
何をしてたの?
その1.育児
言うまでもありませんが、育児はしていました。
生まれてからの2~3ヶ月程度
子が生まれてから母親が元の体に戻るまでの産褥期は6~8週と言われます。
しかし、体力など考慮すると結局3ヶ月くらいかかるんじゃないかなと隣で見ていて思いました。
なので、妻には無事出産を終えてくれただけで感謝感謝とし、この時期は僕が基本全ての家事、育児を担当して妻には母乳だけお願いする役割分担にしていました。
それ以降
妻が元気になってきてからは、体調やメンタルの様子を見ながら少しずつ役割を分けるようにしました。今は基本子育て関連は僕、家事周りは妻がやるような体制です。
その2.勉強
今年は育休中のリスキリングについて議論(?)もありましたが、うちの場合、子の睡眠などをハンドリングすることで、勉強に充てる時間も日に何時間か捻出できました。
英語
まとまった休業期間なので、基本的だけど今まで目を向けてきたテーマとして英語の勉強を本格的に始めました。
TOEICが900弱になったところで4技能のテストであるDuolingo English Testに移り、今はIELTSに向けた勉強を始めています。
Computer Scienceの基礎教養
こちらも前々からやりたいなーと思っていた「Computer Scienceを体系的に学ぶ」という目標に、大学に入ることで挑戦してみることにしました。
来週からmidterm examが始まります。。コワイ。。
取ってみての気づき
日記に今日の気づき的なことを書いており、そこからの抜粋です。
その1.新生児対応の業務量と母体のダメージから、男性育休の必須具合が分かる
赤さんは基本何からしら手がかかりますが、特に新生児期の業務量はなかなかです。
こちらぴよログからデータ抽出してグラフにしたものですが、何かというと「1日あたりの対応タスク量の時系列変化(オレンジは、全体のうち深夜対応のみ)」です。
新生児期(4月あたり)は1日30taskを超えてる日がまあまああります。つまり単純計算1時間1task以上発生するわけで、バタバタな生活っぷりが分かります。。
(コードはこちら)
一方で母体のダメージもなかなかです。フィジカルなダメージは言わずもがなですが、運動などが制限されるのでリフレッシュができず、メンタルにも波及するみたいな状態が一定続きます。
以前は男性育休はまあ取れる人が取ればくらいの感覚でしたが、今は少なくともこの時期に関しては”必須”だと考えを改めました。
よく「新生児期に父親が育児を手伝わないと、クリティカルな溝を生む」と聞いたりしますが、その理由が分かる気がします。
その2.子の圧倒的成長っぷりが興味深い
あまりこの言葉の乱用は好きではないですが、子に関しては本当に思います。日一日と変化があり、ちょっと目を離すと新しいことができるようになっているので、非常に興味深いです。
子にとっては毎日見るもの、触れるもの全てが新鮮で、世界との対話を楽しんでいるんだろうなと想像を膨らませると、自分も元気がもらえます。
その3.自分は子育て世帯の視点が全く分かってなかったなと分かる
- この道、小さな段差あったんだ、、
- あれ、この駅、どこにエレベーターあったっけ?
- フードコートで、声気にせずご飯食べれるの助かる〜
子を連れて歩くようになってから、こういう細かい気づきが続出して、軽いカルチャーショックを受けました。
姪や甥と遊ぶ機会は結構あったんですが、それでもこうした発見が今になってたくさんあり、当事者にならないとわからないことってたくさんあるんだなという発見でした。
その4.子育ては夫婦のコミュニケーション量が試される
子育てで夫婦仲が悪くなる場合、一番の原因は「コミュニケーションを密に取らざるを得ない状況になり、そもそもの夫婦コミュニケーション不足が露呈するから」じゃないかと思いました。
名前決めや出産関連の入院に始まり、家事育児の分担、今後の育成方針や金融戦略など、目を背けることができないアジェンダが次々に降ってきます。
こうした状況の中で、夫婦で思っていることを腹を割って言い合う関係なのかというのが露骨に表れる気がします。
幸いうちはかなり会話量が多い方ですが、それでも長期的な視点の会話をする時間もあったほうが良いと思い、最近は月次の会議を設けました。
その5.半径5メートルくらいを明るくする能力がある
明るくは比喩で、気分の話です。
子と一緒に歩いているとエレベーターやカフェで隣になった方から話しかけていただいたり、笑顔になっていたりという場面によく遭遇します。
子は社会の宝という表現がありますが、周りを明るくさせる力を目の当たりにするとあながちオーバーでもないなと感じます。
細々とした話
取るまでにやったこと
特筆すべきことはやってないですが、淡々と引き継ぎを行いました。退職と異なり職場復帰することが分かっているので、周囲との関係のためにも未来の自分のためにも、ドキュメンテーションは丁寧にやるべきだろうなと意図的に時間をかけていました。
- 育休を取得することを早めに伝える(5ヶ月前くらいに上長に伝えた)
- 引き継ぎ先を確認する
- ドキュメントを整備する
- 事務的な書類は依頼があり次第即対応する(妻に書いてもらう書類があったりするので)
子育て周りでやって良かったこと
(生まれる前に)子育て関連の本を読み漁りベストプラクティスを把握する。
生まれてからだと時間がなくなるので、最低限、妊娠期間中に食事・睡眠・排泄については本を各複数読んで、まあこれは間違いなく効くんだろうなというベストプラクティスを把握するようにしました。
特に睡眠については(個体差も否定しないものの)主に以下を実践し、ほぼ寝つかせゼロで瞬時に寝るという親体験の良さに落ち着いています。
- 寝る2h前くらいに風呂に入れる
- 寝る前ルーティンを守る(ミルクをあげて、挨拶をして、寝る前に寝室に連れていく)
- 部屋を完全に真っ暗にする(カーテンの隙間やエアコンの光も潰す)
- 深夜のちょっとしたグズリは数分様子を見る
- 深夜対応は超暗め、暖色系の間接照明のみで行う
- 深夜対応の時に視線を合わせない
- 決まった時間に電気を消し、電気をつける(SwitchBotを活用)
- 室温を”大人の感覚よりちょっと涼しめ”で一定に保つ(SwitchBotを活用)
気にすることが多いので、極力定量化、効率化する
赤さんは繊細で気を付ける指標が多いので、判断基準が曖昧だと疲れるなあと、できるだけ定量化するようにしていました。
- 温湿度はSwitchBotで管理し閾値を超えたらSlackに通知&自動でエアコンオン
- 同じくSwitchBotで照明の点灯、消灯を自動化
- 体重はWithingsに乗ることでデータが残るようにする
- ぴよログに毎日の生活データを貯める
- Mi Bandで深夜に定期時間周期で振動アラームをつける
- ポッドで給湯温度を80度に保つ
なお、SwitchBotのAPI連携はChatGPTちゃんにコードを書いてもらいました。
諸々のコミュニケーションツールを整えておく
前述の通り、コミュニケーションは大事ということで、コミュニケーション環境は整えておきました。
- 子育て周りのフロー情報を共有するために家族Slackに#babyチャンネルを作成
- 保育園情報などのストック用にNotionの共有ページの作成
- 写真共有用にGoogle Photoで共有アルバムの作成
- 予定のシェア用にGoogle Calendarの共有
- 日々の対応の連絡帳代わりに、ぴよログのメモ欄をお互いに記入
(ある日のメモ)
家族会議を定期的に開く
「普段よりちょっと先を見据えた会話も定期的にしたいよね」ということで、10月から開始した月次の家族会議。
Notionにテーブルを作成し、会話したいことを事前に書いておいて、終わったらメモを貼っておくスタイルでやっています。
先月は家計の可視化をしたいという話になり、夫婦で家計簿アプリを使用することを決定しました。
月のまとめブログを書く
こういうやつですね。育休が長くなった時に、自分の生活がダレるのを防止するために始めました。
家族会議と同じで、棚卸しの機会になるので、続けようかなと思っています。
便利だったアイテム
これ全て詳細を書くと書き終わらなくなりそうなので、箇条書きスタイルでいきます。
- ドラム式洗濯乾燥機、食器洗い乾燥機
- 元々買ってたものだけど、効果を実感。1秒を削り出せ。
- 電気ポット
- ミルクを作るのと白湯をすぐ飲めるように。80度キープなのと、ちょい出しできるのがお気に入り。
- おくるみ、スリーパー
- 初期は毛布はあぶないので、着るタイプを選択。このおくるみマジで寝るからすごい。。。
- OPEN MOVE(イヤホン)
- 外音も入るので、ながら作業が多くなるこの時期にちょうど良い。
- コープ
- 初期の買い物行く時間(と元気)がない時用と、今は離乳食用に契約。便利。
- ぴよログ
- すでに何度も登場の育児記録アプリ。データをPDF,CSV出力できて、残したり分析して楽しめる。
- SwitchBotシリーズ
- 家電をIoTにする、スマートリモコン。APIを直接叩けるとか、拡張性が楽しい。
- Withings(体重計)
- 専用のサーバでデータを見れたりIFTTTでデータを転送したりできるスマート体重計。
- Mi Band6(スマートバンド)
- 小型軽量のバンド。色々な機能を使ったが、地味に役立ったのが、「振動で起こしてくれる機能」によって子を起こさず起きる使い方。
- 見守りカメラ
- 自分たちの睡眠を確保するために、早く寝室を分けたくて早期から導入(すでに寝室は別になっている)
- お薬手帳アプリ
- 健診など何かと病院に行く機会があって、ついでに薬をもらうことも増えたのでアプリで薬局に情報送れるように。事前決済もできるのが楽。
- LEDランタン
- 深夜対応時に部屋を明るくしないための、間接照明として。そんなに明るくないのが逆にニーズにマッチ。
参考になった本(子育て関連)
大概の本は、ここにも簡単な感想を書いてます。
kappappa14の本棚 (kappappa14) - ブクログ
その上でピックアップするとしたらこの辺です。
役立ったもの
睡眠本
他にも細かく書かれている本はあるんですが、これが一番コンパクトにかつ根拠のある指示がされていて、手元に置いておいて何度も参照したいと思えました。
基本、睡眠はこれに準拠して対応しました。
食事本
妊娠期から順番に丁寧に書かれていて参考になりました。離乳食のフェーズなので、また読み返しています。
全体観
これじゃないといけないというわけでは特にないですが、こういう月齢別になった概要をバーと書いた本は1冊手元に置いておくと何かと参照できて便利です。
興味深い系
不妊治療の本
自分が不妊治療を受けたわけではないのですが、妊娠というプロセスについて気になったのと、不妊治療周りのニュースなどが目につくようになったので数冊読みました。
結構知らないことが多くかつ衝撃的で、これは知っておくべき内容だな、、と思いました。
子育ての経済学
子育て周りの本をザッピングすると「フランス式がすごい」「いやいやスウェーデンが」という主観本をよくみますが、各国の子育て周りの意思決定はどういう背景でされているんだろうなと気になって読みました。
翼の翼
20~30年前、田舎で育った自分の感覚と今の首都圏の子育」とでギャップがある部分はいろいろあるだろうなと調べていて分かった1つは中学受験率、進学率の高さです。
東京都全体で私立中学進学が約20%と、かなり一般化しているのでどういう感じなんだろうと思って関連書籍を漁りました。
中でもこの本が(フィクションですが)ディテールまでかなりリアルで、教育の方向性についてかなり考えさせられました。。。
脳研究者 育つ娘の脳に驚く
自分自身、学習の方法論について考えるのが好きなように、人間の学習とか発達というテーマには結構関心があります。
そんな中この本は、脳科学者がパパとして娘と触れ合う中で、各段階の行動を「こう解釈できる」と解説している本で、この本を読んでから子の行動を見ると非常に興味深く観察できます。
終わりに
最近読んだ本によると、育休の取得は伝播するという研究があるそうです。
例えば父親の育休取得率が70%を超えるノルウェーでは(2006年時点)、父親の同僚や兄弟など身近な人に育休取得者がいた場合、父親の育休取得率が11~15ポイントも上昇したという調査結果があります。
親戚や友人に半年以上育休をとっていることを話すと驚かれることも少なくなかったですが、ちょっとずつ普及して当たり前になっていくといいなーなどと思います。
次は働きながらの子育てについて、気が向いたら書こうと思います。